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部屋にはもう既に、漆間家の人たちや雅、菫、華の三人がいた。
他の人たちが早く来たのではなく、どうやら理奈が昨日よりも遅く来たみたいだ。
もしかしたら昨晩泣いていたの聞こえてたのかな……。
五条さん、朝部屋に入るタイミング気を遣ってくれたのかもしれない。
理奈がそんなことを考えていると、
「ええぇ!!目ぇすんごいっ!」
華が理奈を指さして笑った。
隣にいる菫が「だから指をさすのはやめなさいって昨日も言ったでしょう」と怒っている。
だが、理奈はその会話に入る余裕なんてない。
うまく笑えているのかもわからない愛想笑いをして、空いていた雅の隣に座る。
「おみえになりましたね」
入口の方を見ながら、雅が静かに言った。
足音が聞こえる。
皆姿勢を正し、そして一斉に頭を下げる。
足音が、止まった。
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