好き

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五条は朝食会の部屋に着いたが、部屋にはもちろん、その道中にも理奈はいなかった。 「五条?」 次はどこを探そうかと考えていると、前から漆間和馬が歩いてきた。 「和馬様!」 「どうした?こんなところで」 漆間和馬は不思議そうな顔をしている。 「いえ……。あの、今日は、理奈様とご一緒ではなかったのですか?」 「一緒ではないが」 五条はそうですか、とだけ言ったが、その声は明らかに沈んだものになってしまった。 「まだ戻っていないのか?」 漆間和馬が心配そうに聞いてきたので、五条は安心させるよう、わざと笑顔をつくる。 「はい。ですが少しの間、一人になりたいだけかもしれませんね。和馬様は心配なさらないでください」 そう言って深くお辞儀をし、五条はまた歩き出した。
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