好き

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* 「和馬様!」 走って海に来た和馬に、女が声をかけた。 和馬は少しだけ驚いた表情を見せたが、すぐに表情を元に戻す。 「もう、男の所に来てくれてたのか」 「はい。雅紀さんはつい先ほど、お店の方に戻られましたが」 「理奈は?」 和馬が、不安な表情をしている。 何が聞きたいのかが、女にはそれだけでわかった。 「はい。こちらにみえましたよ。理奈さんは雅紀さんに気付かれましたが、雅紀さんは気付いていませんでした」 そうか、と言った和馬の表情は、少し安心したようだった。 女は微笑みながら、理奈さんはあちらに行かれましたよ、と理奈の行った方向を指差した。 「ありがとう。助かった」 そう言ってすぐ、和馬は女の指差した方へ走って行った。 「和馬様……」 女は、和馬のその後ろ姿が見えなくなるまで、ずっと見つめていた。
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