一目惚れ

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* 「理奈ちゃん、これ外にお願い」 雅紀(まさき)の母親に、串にさした醤油団子の載った皿を二皿手渡される。 理奈はそれを両手で受け取り、慣れた手つきで店の外へと運ぶ。 「お待たせしましたー!」 団子全体に醤油を薄く塗り、網で香ばしく焼き上げた醤油団子は、この団子屋の一番人気だ。 三色団子や(よもぎ)団子に比べると華やかさは劣るものの、お好みで海苔を巻くことも出来て、値段は断トツで安い。 店の外に置かれた縁台は、五人がやっと腰掛けられる程度の物だが、入れ替わり立ち替わり、毎日のように賑わっている。 そんなことより……。 ――まったく!雅くんまたさぼって! お昼時で忙しいというのに、雅紀の姿はない。 理奈は幼い頃に両親を亡くして雅紀の家に世話になって以来、雅紀の母親が営むこの団子屋を手伝っているのだけれど……。 雅紀はサボり魔である。 どうせまた海にでも行っているのだろう。
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