2人が本棚に入れています
本棚に追加
大学を卒業してからも、真由とのお付き合いは続いていた。
お互いに東京都内で就職し、僕はコンピュータ関係の会社、真由は大学病院の看護師として働いていた。
真由の仕事は、3交代勤務のため、お互いにデートの時間を合わせるのが大変だった。
どちらかというと、真由のほうが時間的に大変な仕事だと思っているけれど、それでも真由は、できる限り僕の時間に合わせてくれているようだった。
真由と一緒にいる時間は、会社でのいやなことを忘れることができて、ゆっくりと時間が流れるような感じがあった。
僕は、真由と会えないなんて、考えられなかった。
25歳になって、会社での仕事にも慣れて、生活にも少し余裕が出てきた頃、僕は思い切って真由にプロポーズすることにした。
僕はプロポーズで、きちんと自分の気持ちを真由に伝えたいと思っていた。
けれど、さすがに真由本人の前でのプロポーズは、緊張して上手く伝えられなかったと思う。
僕はプロポーズするなら、夜の東京お台場パレットタウンの大観覧車の中と決めていた。
僕は、真由を誘って観覧車に乗ったけれど、緊張のあまりなかなか言い出せなかった。
そんな僕の気持ちに気付かない真由は、
「夜景がきれいだね!」
と言って喜んでいた。
そうこうするうちに、観覧車は1周してしまった。
観覧車を降りたとき、僕は絶対に今日プロポーズしようと、あらためて決意して真由に話しをした。
「真由、もう一度乗らない?」
「えっ、どうしたの?
別にかまわないけど!」
僕と真由は、続けて2回目の観覧車に乗った。
観覧車が半分の高さを超えた頃を見計らって、僕は思い切って真由にプロポーズをした。
「真由、僕は頼りない男だけど、真由のことを一生大切にするから…
だから、僕のお嫁さんになってください。」
しどろもどろになりながら、真由に自分の気持ちを伝えると真由が、
「うん、ありがとう!
私、ひろのお嫁さんになる!」
と、少し涙を浮かべながら返事をしてくれた。
僕は、すごくほっとして、その後のことをよく覚えていない。
最初のコメントを投稿しよう!