そんな誕生日も悪くない

誕生日だからってイイことばかりがあるとは限らない

制服に着替えたシマムラタカシが図書室にやって来た。
少しだけ頬を染めて、どちらかというと図書室とは不釣り合いな雰囲気の彼は困ったように辺りを見回している。

顔ぐらいは知っている同級生。
名前ぐらいは聞いたことのある同級生。

そんな存在が、少しだけ変わるかもしれない。

今日は、誕生日。

ついてない誕生日。

海鮮丼なんか食べてないけど、ツキは回復したのか？　それとも、アンラッキーを使い果たしたのか？

朝からみんなに「おめでとう」と言われて、楽しい気分のまま過ごす誕生日にこしたことはない。
でも、
こんな誕生日も悪くない……そう思いながらシマムラタカシに手を小さくふると笑った。