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「そうかなぁ。なんか不愛想すぎて」
プンスカと怒るゆめちゃんに、あははと笑いながら家庭科室に向かった。
「ってか、ホントに保健室行かなくて平気? ちょっと赤くなってるよ」
「えーマジで?」
「うん。とりあえず行ってきなよ。前髪で隠れちゃうけど」
「そだね」
私は保健室に向かった。
保険医の先生に軽く消毒をしてもらって家庭科室に戻る。
家庭科の授業は実習で、マフィンを作った。
特に失敗もなく、同じ班のみんなは無事に出来上がったマフィンは彼氏にあげるとか言いながら何となく可愛くラッピングしたりしていた。
「ナズナちゃんあげないの?」
「誰に?」
「……別れたんだっけ」
「うん。ってか、もう半年以上前だよ、あはは」
クリスマスの前に別れたお陰で、まだイベントというものを彼氏と過ごしたことがなかった。
「帰ったら、お父さんにでもあげるよ」
そう言いながら、みんなと同じように可愛らしくラッピングをする。
無駄にきれいに包まれたマフィンは、きっと誕生日ケーキを食べるであろう我が家の誰がいつ食べるのだろうか? と、思いながら鞄にしまった。
お昼になってお弁当を探すも見当たらない。
部の用事があるらしい、ゆめちゃんはもう教室にいなかった。
スマホを見ると、お母さんからメッセージがはいっている。
「お弁当、玄関に忘れてる! バカね!」
と、言う文字のしたに無意味に踊るウサギがスタンプされていた。
私はがっかりとしながら教室を出た。
「購買……行くかぁ」
よりによって、自分の誕生日に購買のパンって……と、大きなため息をつきながら何とかパンをゲットした。
「おい!」
「?」
振り向くと、今朝の彼が立っていた。
「あ、ノーコン」
「ノーコンで悪かったな」
「あ。あははは」
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