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一方、一人っ子で育った白鳥は、
この二人の姉弟が好きだった。
弟のタケルと会うのは久しぶりだが、
こうやって、二人の家にお邪魔すると、
まるで彼らの家族にでもなったかのような気がして、
単純に嬉しいのだ。
・・・恐らく美香と二人っきりだと、
こんな彼女の姿は見れないだろう。
どこかよそよそしい普段の彼女と、
弟タケルに見せる、容赦のない説教だったり何気ない会話・・・。
・・・無論、彼も美香に心を惹かれている一人である。
だが、剣術でいまだ、美香を越える事ができないため、
彼もまた、積極的に行動する事が出来ないのだ。
「じゃあ、そろそろ、行きましょうか?
あ、ちょっと、失礼するわね? すぐ来るから。」
タケルがぶっきらぼうに言う。
「トイレくらい、先に済ましちゃえよ。」
「・・・がう!」
美香はその場で、噛み付く振りをする。
こんな姿、外では絶対にお目にかかれない。
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