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ルナを覗き込んだグレイの瞳は静かな怒りに満ちている──
筈であった…。
だが、グレイは何一つ怒る様子を見せずルナの頬に指で触れる。
グレイはルナの顎を摘むと軽く口を開かせてそのまま唇で塞いでいた。
「──………」
グレイのとった行動に目を見開きながらルナは苦しそうにもがきグレイから顔を背ける。
無理に剥がれた唇。
グレイはルナを間近で見つめると、無言のまま、また横を向いたルナの唇を塞いでいた。
「……あ…っ…」
吸い付く音が暗い部屋に響き恥ずかしくなってくる。唇のみを何度も重ねながらも、開かせた口腔にグレイの舌は一切入ってこなかった。
唇を交差させるだけの驚くほど甘いグレイのキスにルナの躰の芯がゆっくりと痺れてくる。
優しく吸い、離れたグレイの瞳はルナを見つめ、ルナは熱くなる瞼を開いたままグレイのする行動に顔を歪めた。
また、躰だけを抱くのだろうか──
「……っ…やめっ…」
ルナはグレイのキスに酔いながらも小さな抵抗を見せていた。
顔を振るルナの両頬に手を添えて動きを封じる。その手の感触さえにも胸が疼いた。
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