15章 マイフェアレディ(後編)

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こうやって優しくしては後から冷たく突き放す。意地悪をすることがそんなにも楽しいのだろうか。 辛くて抵抗したい。でもそれがルナにはできない。 ほんとは心が優しく抱かれることを期待しているから。 素直に身を預けたい想いとまた気を許して突き放された時の辛さとが胸の内で強く葛藤している。 抗いながら弱々しく顔を背けたルナの耳たぶにグレイの熱い吐息が掛かる。 「──…っん…」 ルナは小さく声を洩らしていた。 「やめてっ!──…どうせ抱くだけなんでしょっ!?血も吸わないなら必要ないじゃないこんなことっ!」 ルナはグレイの胸を押し、必死に声をあげていた。 グレイは躰を浮かせ、そう言ったルナを見つめている。 「必要ない──…」 グレイはルナの言葉を呟いた。 そしてふっと笑い、ぽつりと呟く。 「確かに必要ない…」 「───…」 「必要はないが……どうしてもお前を抱きたい……」 「……っ…」 ルナは揺れ動く黒い瞳を向けるグレイの言葉に息を小さく飲んでいた。 口にしながらグレイの指先がルナの首筋をゆっくりとなぞり、大きく開いたドレスの胸元に潜り込む。 その指先は小さな乳首を探り当て、じっくりと挟みながら尖端を転がしていた。
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