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リドリーは俯いたルナを見つめていた。
そして向かい合うとルナの両手を取る。
「まだ踊れないなら教えてあげる」
「え……」
「君は僕に付いてくるだけでいいから」
顔を上げたルナにリドリーはウインクすると、さっと華奢な腰に腕を回した。
背丈も近いから踊りやすい。曲の流れに乗って広場の真ん中に連れ出され、リドリーはルナを上手に踊らせる。
くるくると回されながら身体を動かしているとルナは自然と息を弾ませて笑顔を覗かせていた。
「楽しくなった?」
心配そうに尋ねられ、ルナは大きく頷き返す。
そんな可愛らしいカップルの踊る姿に誘われて、我もと次第に踊る者達が増えていった──
手をとり腰を引き寄せられながらルナはリドリーを見つめる。
どうしてこんなに優しくしてくれるのだろう──
あの人からあんなに怖い目に合わされた筈なのに…
ルナの見つめる瞳にリドリーは視線を合わせて微笑んだ。
「どうしてだと思う?」
「え…」
不意に聞かれてルナはリドリーを見上げた。
思考を読まれたことに戸惑いながらルナは考え込む。
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