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リドリーはゆっくり頷く。
「たぶんそうだろうね…君たち人間にとってあの行為がどういった意味があるかは知らないけど……僕たち魔物からしたら、たんに料理を温めてるだけだ──…」
「───…」
「君たち人間だって、冷たくて不味いスープよりは温かくて美味しいスープを飲みたいだろう? 僕らからしたらそれと何も変わらない──」
「……食事の為だけの行為なの!?」
ルナの声にリドリーは頷く。だがルナはそれでも納得がいかなかった。
「でもっ…あの人はするわっ…」
「───…」
「血を吸わなくても毎晩あんなことっ…」
言いながら顔を赤らめて途中でルナは口を結ぶ。
吸血行為を何一つもせずに、グレイはルナをただ抱きにくる──
吸血種族にとって血を美味しくするためだけの行為なら、決まった時にしか自分から血を吸わないのなら必要ない筈だ。
リドリーは俯いて唇を噛んだままのルナを見つめた。
グレイがルナの血を得ずにその行為に及ぶ──
吸血種族として普通ならあり得ない。
だがリドリーもそのグレイの行為に否定の言葉はでなかった。
血はなくてもいい……
ルナに先程言ったようにそう思う自分がいる。
あんなに極上の血を持っているにも関わらず──
何故かその血よりもルナ自身を求めている自分がいる。
たぶんグレイ様も同じ感情を持っている──
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