第一話 ファースト・ライト

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 半覚醒の脳髄から、腕を動かす信号を受け取って動き出していたのは、側面に、自分の身体の側面に、規則正しく一列に生えた無数の<節足>だった。  節くれだった短い触手状の足(手?)が、十数対、各々が勝手に蠢いている。  もちろん、それら節足が生えている身体も人間のそれではなかった。  いくつもの節で分かれた硬質の外骨格。太めのキャタピラが一番近い例えだと思う。ブルドーザーとかの車輪に付いているアレである。  今、視界の中で蠢いているそれらのパーツを統合すると、ある生き物が連想される。  ムカデだ。  声が出せなかった。いっそ狂った様に叫んだら冷静さを取り戻せたかも知れない。  自分の身体がムカデ…。  ただでさえ、閉所の恐怖で目一杯張りつめていた神経が途切れた。  眠りから醒めたばかりなのに、気を失った。  これは「夢だ」と、自らに言い聞かせる間も無く。
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