3人が本棚に入れています
本棚に追加
半覚醒の脳髄から、腕を動かす信号を受け取って動き出していたのは、側面に、自分の身体の側面に、規則正しく一列に生えた無数の<節足>だった。
節くれだった短い触手状の足(手?)が、十数対、各々が勝手に蠢いている。
もちろん、それら節足が生えている身体も人間のそれではなかった。
いくつもの節で分かれた硬質の外骨格。太めのキャタピラが一番近い例えだと思う。ブルドーザーとかの車輪に付いているアレである。
今、視界の中で蠢いているそれらのパーツを統合すると、ある生き物が連想される。
ムカデだ。
声が出せなかった。いっそ狂った様に叫んだら冷静さを取り戻せたかも知れない。
自分の身体がムカデ…。
ただでさえ、閉所の恐怖で目一杯張りつめていた神経が途切れた。
眠りから醒めたばかりなのに、気を失った。
これは「夢だ」と、自らに言い聞かせる間も無く。
最初のコメントを投稿しよう!