1983秋

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「おりょう、ええぇ?」 ん? 帰る? いつまでも、話さないわけには、いかないしね。ことこと、歩いた。あ、ぽつぽつ、小雨だ。 「わしゃ、おりょうが思っとるほど大人じゃねー。 昼間みたいに、おりょうが、前、好きじゃったって知っとるひとと楽しそうに話しょーるんを見ると。がらにものぅ妬いてしまう。」 ん? ふふ? ジローさんの顔を覗きこんでしまった。。 「なに?笑って。。。」 妬いてくれたから。。ふふ。意外。 「こねーだのこたー、ほんま、悪かった思うて」 うん。 それ、持ち出されると、 なにを話せば良いのかわからなくなる。 「・・・」 後ろから、抱きついてみた。 「なんな?」 ふふ。 腕を絡めてみた。 へそを曲げていたし、しんどかったし、口きいてなかったぶん、意地を張っていたぶん、甘えてみたくなる。 「酔ってるん?」 耳たぶに唇を寄せてみた。 好き、かも、って、呟いてみた。 ねぇ、甘えても良い? 「なに?」 「そねーに、したら。帰さねーよ」
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