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ふふ、いじわるもしてみたくなる。
じゃぁね。また、明日ね。
下宿に、着いたし。
「じゃけぇ。おいで。」
ジローさん。
すごく久しぶりにジローさんの部屋。
どこか愛しい匂いがする。
「冷えたじゃろ、、」
温かいコーヒーを出してくれた。
カップを両手で包むと、温かさが手のひらに指先に伝わる。
隣に座ったジローさんが、肩に顎を乗せた。
「こうしたかったんじゃ。」
肩をずらしながら、逃げようと、
それ、肩こるんですけど。。。
「ほぐしたるから、ええぇ。」
さらりと。そして、引き寄せた。
「こうしたかったんじゃ。」
しばらく、そのままで。緊張感する。
「こないだのことなんじゃけど。。」
「まだ、話しょーらんこともあるんじゃけど」
「深酒が、いけんかったじゃ。」
「曖昧じゃったけ」
ねぇ、ジローさん。
ホントに話したいの?
わたしが、どうだったの?って、質問したら全部話してくれるの?
問いただすってのが、なんかやだ。
答えてくれても、くれなくても、その中に
わたしの知らないジローさんが、いそうだ。
わたしの知らないジローさんを知ってる人がいるってことだ。。
できれば全部知りたい。
今まで、どんなひとに出会って、どんな恋をして、どんな修羅場があって、どうして別れてきたのかって。。
でも、知ると、そこにヤキモチ妬くわたしがいそうで、、どうやっても、過去は変わらないのに、それでもヤキモチ妬くと思うよ。
わたしがもっと大人になって、そうね、ジジババくらいになって、陽だまりの縁側でお茶しながら、それを問いただして、意地悪したい。
「ほんまに、せーで、構わんん?」
半ば呆れた顔している。
その分、たくさん意地悪してやるっ。
わがまま言って。拗ねて。意地を張って。
「手のかかる、面倒くさい子ぉやね」
今頃?ふふふふ。そう?
けど、もし、わたしも、たくさんいるジローさんの取り巻きの中のひとりならば、もう、ここへは、来ない。
「・・・」
しばらく考えてたのかな。
気まずくなるほどの沈黙のあと。
「わかった」
って。
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