1983秋

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∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵ 雨が激しくなってしまって、雷もすごくなったので、部屋に戻るきっかけを逸してしまった。。 「雨宿り。ここ、おり。」 「なんも、せんから。」 喋りすぎたんだろうな、頭が冴えてきて眠れない。 キツい奴だと嫌われたかな? 言いたいことをキチンと話せたかな? ホントに伝わったのかな? ジローさんの匂いのするタオルケットの中でクルマって眠りについた。 浅い眠りを何度か繰り返して、朝になった。 謝ろうかな、、言いすぎたって。 ジローさんは、テーブルに乗せた丸めたタオルケットを枕にして突っ伏して寝てる。 音をひそめて、近寄る。 その姿をぼんやり眺めているうち、また、不安になる。 なんで、こんな気持ちになるんだろ? わたし、こんな、弱虫だったっけ? いつの間に、こんな気持ちになっちゃったんだろ。 いつも、気持ちがそぞろで、浮き足だってる。 わたしらしく、ない。。。 全部、ジローさんのせいだ。 寝息をたててて眠ってるジローさんのおでことか頬とか唇を、指先でそーっと、触っていると。指を食べられて舐められた。 「おはよ。」 あ、おはよ。。。 ごめん、起こして。。。 「かまわんて。」 「夢かぁ、思ぅた。」 なんで? 「目を開けてみて最初に見えるんが、おりょう、じゃ。」 なに、それ。 「まだ、ききてゃぁこと、あるん?」 「おりょうが、あんぎゃぁな風に思っとるなんて知らんかったから」 「わしの悪いとこじゃの。いろいろ勝手に、けぇでええと思い込んどったよ。」 ちょっと言いすぎたと思ってる、ごめんね。 「きちんと、聞けて、えかったよ。」 「のー、部屋、戻るん?」 着替えたいし、、 「のー。。隣の部屋は来春に空くみてゃぁじゃけぇ、越しといでよ。隣の棟じゃ、雨の日は面倒だし、夜さびいし。。。」 それは、ジローさん、次第だよ。 「そっけ。また、今夜、続き、話してゃぁけえ、おいで。」 でも、次の日は、さっさと、部屋に戻って、テレビ点けてた。 ∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵
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