1984秋

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四年生の秋、わたしは、東京の化粧品会社の研究室への就職が決まった。 四年ぶりの東京だ!休みを利用して観劇に出かけられそうで嬉しい。 締め切り間近の卒論の総まとめに入っているって徹夜続きなの、と、言い訳をして、最後の学祭だから、もう一度舞台に立てばって話にも辞退してしまった。 【マクベス】に向かい合うと、帰れなくなるじゃん。ヘアメイクのサポートで充分。 後輩にヘアメイクの各種を引き継いで、ブラシの洗いかたとか干しかたとか片付けかたとか、役柄でどんなところに気を付けるかとか、、、。 あとは、一口サイズのおいなりさんを差し入れを持っていった。 それに、学祭に行くと、誰かしらに会いそうで、卒後の話を説明するのも煩わしくて。。 夏物を実家に送り返すための片付けをしていたり、もう使えなくなる電化製品類を卒業後に引き取ってくれるひとを探したり。 ジローさんは、二回目の三年生を無事クリアして、来年は四年生になれそう。 まーさんは、卒業が決まったし。落ち着いてから結婚式をあげるらしい。籍はもういれてしまったらしい。 隆士さんは、岡山市の製薬会社支店に。 杏子は、ひとまず地元の病院に。でも、いずれは岡山に移るそう。
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