消えない泡(Foam not to disappear)

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 伯父の友次(ともじ)から誕生日カードが届いた。毎年送られてくる伯父からのメッセージは、誕生日の楽しみの一つ。今年はどんなカードかと期待を込めて封を切った。  友次は海とサーフィンが大好き。四十八歳。独身。海辺の小高い丘に住み、気ままなスローライフを営んでいる。週に二日ほど、町にある大きなサーフショップでバイトをする。決して若くもない年齢でバイトをするのは、とにかく海とサーフィンが大好きだから。ショップのオーナーが昔からのサーフィン仲間だという理由もある。  休みの日には、ショップの若い従業員たちと海に出る。サーフ歴はウン十年で、波に乗るときはいまだに、ピチピチと元気の良い稚魚のようにはしゃぐらしい。  一年中日に焼けた肌をし、一年中ジーンズで日々を過ごす。サーフィン・ショップのロゴ入りのトップを身に着け、ジーンズのブランドにはこだわる。後ろから見るとちょっとカッコ良いお兄さん風だが、前から見るとやはり年相応のオヤジである。時々友次とではなく友ジイと呼ぶと、まだ爺さん扱いしないでほしいとむくれる。
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