だって、泣いてても仕方ないじゃない

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 昔の記憶。  たぶん、物心ついて最初の記憶は、ひまわりの根元に寝っ転がって、泣きながら空を見ていた、あの夏の日。  熱中症になりそうな暑い日で、涙が流れるのに任せて、みんみん蝉の鳴き声が頭の中に入り込むのを受けいれていた。  …なんであんなに泣いたのか、覚えていない。  でも、あんなに泣いたのに、家族皆にほっとかれたのは、良く覚えている。  だから、悟ったんだ。  青い空と鮮やかや黄色いひまわりの花びらを見ながら。  ああ、泣いてても、仕方ないんだ。  何も変わらないんだって。  それが、オレの座右の銘になった。  
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