だって、泣いてても仕方ないじゃない

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「おーっ、力也、いたいたぁ、やっぱりお前、このガッコだったなぁ」  入学式の帰り道、後ろから首をロックされた。  男くさい匂い。  肩に感じる隆々とした筋肉。 「うっす!お久しぶりです、田中先輩」  あーあ、やっぱり捕まった。  この先輩は、ちょっと苦手だ。  まあ、仕方ないか、グズクズ考えてても。  オレは、にっこり笑いながら振り返った。 「いやぁ、同じ中学の奴らが少なくてさ、勧誘に苦労してんだよ!」  やっぱり、部活の勧誘かぁ…何部だったっけ、この人。 「レスリング部へようこそっ!」  いや、入りませんから!  それからも、同じ中学だった先輩に会うたびに、色々な運動部の勧誘にさらされた。  別に、運動部は嫌じゃないんだ。  だけど、なんで、脳ミソ全部が筋肉みたいな先輩ばっかりなんだろ?オレの中学の先輩って。  ちょっとうんざりしていた時に参加した、文化部の合同紹介オリエンテーションで、とても魅力的な先輩を見かけた。
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