だって、泣いてても仕方ないじゃない

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 同じクラスの奴に誘われて覗いた、全く興味のない文化部のオリエンテーション。  体育館の半分を使ったそれは、まあまあの盛況で、楽しげな声に満ち溢れていた。  残り半分を使ったバスケ部の声と混ざって、盛り上がった空気は、完全 につきあいのオレまで、気分が上がった。  そんな空気とはまったく無関係に、その人たちは玉避けネットのすぐ側にテーブルを置いていた。  他の部みたく、長テーブルを運んだり、パーティーションに展示をしたりする事なく、ただ、元々体育館にあった古いテーブル一つと椅子を二つ用意し、座って手元に集中していた。  静かな空気。  そこだけ切り取られたような雰囲気に、近寄りがたささえも感じて、誰も近づかない。  そっと前に立つと、テーブルの前に申し訳程度にA4の紙に字が書いてあった。 『男子手芸部』 はい?
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