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   その後、二曲のアンコールがあってライブは終了した。  興奮して喋りっぱなしの結衣に、チケットのお礼に夕飯を奢ると入ったイタリア料理の店でパスタを食べながら、彼女ほどではないにしても、高揚した気分で、芹称はいつもより饒舌になり、二人の間で話が大いに盛り上がった。そんな中芹称は、あの曲の収録されているシングルのタイトルを結衣から聞き出した。  特筆すべき歌詞ではなかったと思う。メロディーも、マイナー調で耳に馴染みやすく、何か、ハッとするような違和感があったわけでもなかった。もちろん、鳥肌が立つような壮大な曲でもない。  音楽を聴いてあんな気分になったのは、―――心を揺さぶられたのは、初めてだ。  残りの長い夏休み、ほとんど毎日バイトに出かけ、誘われれば遊びにも飲みにも行った。その合間の気が向いた時に、夏休み中に仕上げるようにと出されている課題をやっつけていくくらいで、なんの変わり映えもしない毎日だった。ただ、テレビの歌番組をチェックするようになって、CDラックに挿されたCDの数が増えて、脳裏から、あの、一瞬驚いた表情が離れなくなっただけ。
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