1章 白雪の乱

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白夜党の五月たちは残された子供を保護している。 銀矢が保護した小雪は白羽の住んでいる寺院に居る。 ただ衰弱は激しく今日明日に動き回れる状態ではなかった。 仲間が殺され、住んでいた場所を追われたのでは生きる気力を奪われて当然だった。 「ゆっくりだよ。こればっかりは。でも──佐久間の存在は大きいね。あのイカレタヤツの名前を聞いたら僕だって発狂するよ」 佐久間のことを口にして白羽は箸を置いた。 「佐久間ね」 佐久間凍夜は日乃元で危険視されている。 犬を主体とした戦法で孤児を狩り、使役する。 孤児たちも洗脳されて佐久間の言いなりという状況であった。 「さらにだよ」 白羽が続けた。 「青葉と佐久間が手を組んだと言うことは軍事力も上がってるということ。白夜党だけでは攻め込めないんじゃないかって鴉が言ってたよ」 「そう、佐久間の犬を何とかしないと勝ち目はないのよね」 佐久間凍夜が扱う犬の数は半端ない。下手をすると人間よりおおい。犬特有の臭いさえ消して、夜を徘徊し、獲物を確実に捕らえるように調教されている。鳴き声すら上げない犬も居る。忍犬と闘技犬を掛け合わせたような犬を使った戦略を仕掛けてくる。ここ数年頭角を表してきた佐久間という男を五月たちは追っている。
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