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「放せ!笑うなら笑えよ。僕にはこれ以上……どうすることもできなかった」
九条さんは征司の手を振り払い
屈辱に震える唇で言った。
「いいや、尊敬してるのさ――あんただけはお義兄様、いつまでたっても我が家の戯れ事に慣れないと」
しかし静かに挑発する
征司の笑い声がむしろ
「戯れ事……これも遊びだって言うのか?」
「九条さん……」
「そうなのか?和樹」
彼を――そして僕を
奈落の底に突き落とす。
「遊びじゃないさ」
だが打って変わって
真顔で答えたのは征司だった。
「あんたは俺との約束を破った。そして和樹――おまえは俺との賭けに負けたんだ」
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