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それこそ一撃で
僕らを一網打尽にした王様は
「和樹――九条敬が死んだらおまえも一緒に死ぬんだよな?」
これ以上ない
冷たい目で僕を見据え。
「なら今のうちに準備をしておけよ」
「征司お兄様……」
己から突き放すように
さめざめと言った。
「――戯れはおしまいだからさ」
僕らに背を向け
冷たい夜に溶けるように
黒い影が消えてゆく。
「……もうあなたが我慢する必要はないよ」
「え?」
残された僕らは
互いに見つめ合い
「だってばれちゃったんだし……この先どう転んでも戦争さ」
「和樹……」
「だから、来て」
とりあえず
今できる最良の道を選んだ。
夜が明ければ世界が一変する。
そんなの別に珍しいことでもないのだし――。
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