3人が本棚に入れています
本棚に追加
ジーッとはるまきをみつめているけんたくん。
もっていたフォークにぐさっとつきさして、じわじわとおくちのほうに……。
「あーっ!!やっぱりムリっ!!」
フォークにささったままのはるまきをなげたけんたくん。
そのままたって、みんながいるほうにはしっていく。
「ちょっとまって!けんたくん!」
わたしもあわてておいかける。
ママたちがビックリしてこっちをみてるよ。
「ママ~!ごめんなさぁい。ぼくね、ママのことだいすきなんだよ。だけどね……はるまきはきらいなんだ。ごめんねママ!」
「あらあら健太。そうだったの?ママ知らなくてお弁当に春巻いれちゃってごめんね。健太は悪くないんだからいいのよ謝らなくて。健太が嫌いな春巻を入れたお母さんが悪いんだから。それじゃ一緒にバナナ食べようか!お母さんが皮むいてあげるから……」
………………。
けんたくんがすきなのは、わたしじゃなくて、けんたくんのママなんだ。
「あいが……あいが………………」
「どうしたの愛ちゃん。愛ちゃんも一緒に果物食べようか」
「ママ、わたしのあいはどこにいったの?けんたくんって、ママに"きょうちょう"されてるよね」
「ああ、それを言うなら"強調"じゃなくて"調教"でしょ。言い換えれば"飼育"とも言えなくないわね。あれは間違いなくマザコンになるわ。っていうかもうなってる?愛ちゃんも男を見る目を養わないとね……」
わたしの、あいがまいごになりました。
まいごになったついでに、あいをさがしにいこうかとおもいました。
おわり。
最初のコメントを投稿しよう!