第1章

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第1章

闇の中に甘い喘ぎが響く。 「あぁ―――あ」 組み敷かれた男の唇から零れる、 絶え入るような声。 「睦月―――も、 う」 甘い色の髪がシーツを打つ。 焦らされた挙句に相手の口腔で一度、 貫かれながら弄ばれた掌にもう一度。 既に達している身体に刻まれる律動は、 快楽を通り越して苦痛すれすれだ。 「周防さ……っ」 同じ数だけ相手の体内に欲望を注ぎ込んだ男の黒髪から、 汗が滴り落ちる。 肩に抱え上げていた長い脚を落として左右に大きく割り広げれば、 熟れた粘膜が淫らに己を食む動きが目を射った。 白い蜜を溢れさせながら蠢く秘口に、 自身がどくりとまた体積を増す。 ―――同時に別の衝動が、 じわりと背筋を這い上ってくるのを感じた。 促されるのは欲望の解放だけではない。 もっと凶暴で―――もっと狂おしい。 身体の芯をちりちりと焦がし始めたそれが、 背筋を這い上がってくる。 腰椎をじわりと焼きながらせり上がり、 喉元で激しい渇きに変わる。 「―――むつ、 き」 腕の中で身悶える肉体。 飢餓を癒すものが、 眼下に、 ある。 ―――これ以上は、 だめだ。 「や……抜く、 な」 退こうとした気配を敏感に察した周防が、 声を上げる。 上になった睦月の背中に腕を回した。     
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