第1章

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やや厚めのぽってりとした唇が、 相手の喉仏を愛撫して顎を食んだ。 耳朶を軽く吸い上げて、 舌が頚動脈の熱を辿る。 とくとくと脈打つそれをなぞるように、 何度も何度もくちづけが繰り返された。 周防の唇が、 悦楽の予感に震える。 誘うように脈打つ動脈から、 睦月がやっとのこと唇を離す。 少し外れた静脈の上で舌先が彷徨った。 「むつ……」 はやく、 と周防が掠れる声で強請る。 その声に押されるように睦月の唇が開いて―――上顎から剥き出したのは、 鋭い二本の牙。 それがぷつりと喉に喰い込む。 「―――う、 ア―――ッアア―――ア」     
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