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その後、呪われ姫はすくすくと育っていきました。その美しさは時が経つごとに磨きがかかり、国内外から賞賛の嵐でした。
王は姫の将来を考え、呪いについては緘口令を引きました。しかし、噂はとめられません。
姫の美しさとともに、死んだ男達の噂も広まりました。
最初は姫が三歳の時に死んだ、仲の良かった使用人の息子でした。幼い子供の好意ですら呪いは発動したのです。
姫が十五になるときには、数えるのもうんざりするほどの死者がでました。
しかし、姫の元に訪れる男は減りませんでした。呪いを信じていない者、たとえ呪われたとしても美しき姫と懇ろになりたい者、我こそは呪いに耐えると呪い返しの武装をした者もいました。
甘い言葉を囁き、貢物をし、優しい彼らに姫はすぐに心を許しました。
しかし、呪いは万人に平等でした。みな、棺に入りました。
棺は地下に並べられました。姫の希望で防腐処理を施された死体は、みな亡くなった時のままです。
姫は毎日ひとつひとつの棺に話しかけました。名前を呼んで、甘い声で、愛おしげに。
そして最後には、
「皆様、ごめんなさい。私のせいで命を落とすことになって……。せめてもの罪滅ぼしに、私がいつまでも愛しますわ」
呪われ姫は謝罪を口にしながら、幸せそうに笑いました。
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