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むかしむかし、とある王国に姫君が生まれました。女王に似て、とても美しい赤子でした。
国を挙げて祝いの宴を行いましたが、宴に呼ばれなかった悪い魔法使いが、腹いせに姫に呪いをかけました。
「姫が愛した人は皆、呪われて死ぬだろう」
王は嘆き悲しみました。産まれたばかりの娘に不幸な未来が与えられたのですから。
しかし、別の良い魔法使いが、呪いの上書きを申し出ました。是非! と王は頼みました。
「姫が愛した人は皆、死ぬかもしれません。しかし姫は悲しんだりしません。姫は死体を特に愛するようになるのです」
祝いの席に呼ばれた皆は、良い魔法使いが何を言ったのかわからず、しばし無言になりました。しかし、事態を理解すると、口々に良い魔法使いを罵りだしました。
「そうじゃねぇだろ!」
「むしろ悪化しただろ!」
「取り消せ! 無理とか言わずにやれ!」
良い魔法使いは少し特殊な思考回路をしていました。
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