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プロローグ 崩壊した世界
目が覚めると、世界が終わっていた。自分でも、何を言っているのかよく分からない。ただ、そう形容するのが一番しっくりきた。
上体を起こし、呆然と辺りを見回す。全く状況が理解出来ない。ただ辺りには誰もおらず、荒廃した景色が広がるばかりである。僕は自宅のベッドで眠っていたはずなのに……。
「よく眠っていたな、主殿」
背後から若い女性の声が聞こえ、僕はぎょっとして振り返った。
そこに立っていたのは、頭から一対の角が生えた一人の女性だ。
年齢は二十代半ば程だろう。艶を帯びた漆黒の髪が、腰の辺りまでまっすぐ優雅に流れている。こちらを見つめる瞳は綺麗な緋色。胸元が大きく開いたすみれ色のドレスのせいで、目のやり場に非常に困る。しかもマットドレスなので、輝くように白い太ももが惜しげもなく晒されており、僕は結局彼女の顔しか見ることが出来なくなった。
「主殿って、もしかして僕のことですか……?」
「他に誰がいると言うのだ」
呆れられてしまった。
「ここは……あなたは、一体……?」
人形のように整った顔を見つめて尋ねると、女性は困ったように微笑んだ。
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