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 加奈子とは小学校から中学まで一緒だった。高校に入って別々の学校になってしまったけれど、友情は変わらない。三日に一度はこのコンビニで雑談をしている。それだのも、私が気になっている敷島くんのことを包み隠さず話した。  毎日、朝の通学のバスでしか顔を合わせない敷島くん。彼はいつも出口付近のつり革につかまって、イヤホンで音楽を聴いている。一度、彼の友達らしい同じ紺の制服を着た学生が「敷島、お前期末の結果どうだった」と言っているのを聞いて、私は彼の名前を知ったのだ。だから下の名前はわからない。 「ふーん、ずいぶん惚れ込んじゃってるじゃん。だけどアプローチできないんじゃのぞみ薄だねえ。絶望だわさ」 「やっぱそう思う?」 「うん、あんたじゃムリ。こっちから告白すんのなら、二割くらいの望みありってとこかな」 「二割かあ……、厳しいね」 「それが現実」 「どうにかして、三割くらいにならない?」 「ならない!四捨五入して、くりあがっての二割だから、これでもイロついてるほうだよ」 「加奈子はキビシイなー」  私はうつむいて、手にした肉まんをじっと見た。  けれど肉まんが答えてくれるはずもない。  その代わりに加奈子が「でもまあ、なんだ」と、肉まんを指差して「とりあえずその肉まん、食べないなら私にくれ」と主張しだした。そして有無を云わさず私から肉まんを取り上げると、何事もなくペロリと平らげてしまった。  なんていう身代わりのはやさだ。忍術学園に通っていると言っても信じてしまいそうだ。私は「私の顔になんかついてる?」と追い討ちをかける加奈子に、肩をすくめて応戦するほかなかった。それが私の100パーセント勇気だった。
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