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「千佳先生、自分より先に若い子が結婚するの嫌がるよねぇ」 「当たり前じゃない! リア充爆発しろ! よ」 「のわりには、横山先生とか外勤の池田先生とかフったって噂だよ」 いつの話だよ、と思いながら半年前に立て続けに告白された事を言われ、耳聡い看護師たちにタジタジとしながら、それについてはノーコメントを通す。 話しの話題を自分から逸らすため「で?」と金井さんに真相を聞き出そうと話を振る。 「千佳先生の期待には応えられなくて残念だけど、結婚じゃないんだよねー、これが」 金井さんがニヤニヤしながら「四月からもよろしくお願いしますね、千佳先生」と言った。 「え? じゃあなに?」 眠くて今にも閉じてしまいそうだった目が驚きで目いっぱい開く。 「そ、私も千佳先生と同じとこ行くから。千佳先生の反応見たくって内緒にしてた」 そう言って「なかなかいい反応だよ」とからかうように笑った。 「私をからかうなんていい度胸してるじゃない、金井ちゃん」 数日後には初出勤となる病院は、知り合いがいるけど、年齢の近い女子がいる事はこの上なく嬉しい。 笑いながら睨み付けると「でしょ?」とまるで褒められたかのように嬉しそうに笑った。 うん、ギャルには勝てない。 そう悟った瞬間だった。
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