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「終わってるよ。あとは自分で布団持っていくだけ」
「有給消化は二日だけになっちゃったね」
「んー、でも次行くまでに土日挟むからね。あ、日曜日といえばさ、地元の友達の結婚式に呼ばれてるのよ。払ってばっかりでめんどくさい」
事あるごとに彼氏が欲しい、結婚がしたいと言ってきた私はもうすぐ三十一歳になろうというのに未だに彼氏いない歴数年の、もちろん独身だ。
「ふふふ、そのうち真希ちゃんも結婚するって言いだすかもよ」
二人の共通の友人である真希ちゃんは、数年前から付き合っている年下の彼氏といまだにラブラブしているらしい。
「そこは覚悟してるわ」
悟った顔で頷いてみせると、比奈が小さく笑ったあと、ふと気付いたように心配そうな表情を向けた。
「じゃあ日曜日は群馬に行くの? 次の日から仕事じゃ大変じゃない?」
「旦那さんの親戚が北海道にいるとかで、交通の便から都内で挙式してくれるのよ。それだけは助かったわ」
「そう、なら良かった。…次の職場って…循環器専門なんだっけ」
「そ、ハートセンター。電車で三十分だからさ、ちゃんと比奈の主治医やるから、受診してほしいんだよね」
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