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勝手に名乗り出てあーだこーだ言う私を頼ってくれている比奈にはほんとに申し訳なく思う。 「そこはっ! 千佳が一時間離れたところに行ってもちゃんと通うよ。でも千佳と離れた事なんて今までなかったじゃない。大学の頃から実習も同じ班だったし…」 カップを覆い隠すように両手で持ちながら俯いてしまった比奈に、彼女の心配が私自身にある事を知る。 『助けてよ』 不意に昨日の夜中の彼女の声が耳に蘇った。 あの言葉は、彼女が父親を思って言った言葉だ。 だけど、それだけじゃないのを知っている…。 助けてよ…それは文字通り、救いを求める言葉。 自分を、救ってほしいと求める言葉。 だから私は彼女に私を恨み、憎んでいいと話した。 それが多少なりとも生きるための原動力になると思ったからだ。 今まで何の疑問もなくそばにいてくれた人が、絶対的に自分を守ってくれていた人が突然いなくなってしまった事は、悲しさや寂しさももちろんあるけど、この先どうしたらいいかという不安が先立つ。 自分はどうすべきか、どうやって生きていったらいいか、開いた穴を何で塞げばいいのか…。 足元はぐらつき視野が狭くなる感覚は、今も鮮明に思いだせる。 憎んでも恨んでも帰ってくることのなかった母を思い、抜け殻のようになってしまった私を、救ってくれたのが目の前にいる比奈だった。
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