本編

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ちょうど料理が完成し、ダイニングテーブルに並べている時に玄関が開く音がした。 「ただいま」 「おかえり!」 「おかえりなさい。お邪魔してます」 「知樹くん、いらっしゃい。来てくれてありがとね」 母の黒いコートには僅かに雪が付いていて、近くを通った時に冬の匂いがした。母がテーブルにつくのを待って、いざ私のバースデー&クリスマスパーティーの開始だ。 「有紗、20歳の誕生日おめでとう!」 「ありがとう!」 テーブルには私が作った料理に混じって、母が買ってきてくれたケーキが並んでいる。生クリームたっぷりの苺のホールケーキ。私が大好きなパティスリーのものだ。しつこくない甘さが絶妙で、ホールごと食べてしまえる気がするほど。ケーキの上には大きめのロウソクが2本立っていて、今は火が揺らめいている。
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