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そして、電車とバスを乗り継いで自宅アパートへと着く頃には道路も白く染まり始めていた。
鍵を開けて入ると、リビングのヒーターを慌てて付け、キッチンで手を洗って料理に取り掛かった。
「知樹はテレビでも観てて」
「いや、何か手伝うけど」
「いいの、いいの。パパッと作っちゃうから!」
「はは……ほんと、俺って」
知樹は何かを言いかけたものの、諦めたようにリビングのテレビをつけてソファーに座った。肩を落とし、若干項垂れているような気もしないでもないが、今は腕によりをかけて料理を作りたいと手元に集中することにする。
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