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「葵、結菜、春子、おはよう」
そう言ったのはサクラ、咲良と書く。2日違いで同じ病院で生まれた近所に住む幼なじみ。
私を最後に呼んだのは葵と結菜に気を遣っているんだと思う。
それにしても春子って名前はいつまでたっても好きになれない。理由は今風じゃないから。
サクラは桜だと古くさいけど咲良だとかえって新鮮に思える。
中学に入ったときに名字の高橋のタカをとってタカちゃんって呼んでと咲良にお願いしたことがあったけど3日もたたないうちに春子に戻ってしまった。
お姉ちゃんが冬美で妹が夏美なのにどうして私だけ子なのかもよくわからない。咲良に言わせればどっちもどっちらしいけど、美の方がましなのに。
「おはよう」
葵、結菜、私が同時に応えたけれど私の声は届いていないかも。
咲良だからわかってくれているはずだけど、他の子だったら私はいないも同然の存在になる。
私の変えたいところは何のアピールもできないこの性格と名前。
名前のことは親にも言ったことがない。咲良に言ったのがやっと。でも、もう一度咲良にタカちゃんに戻してと頼むことはできない。
これが私の性格。
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