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「本当にそんなことってあるのかなー」
咲良は不思議そうに言った。
「あるよ、絶対。私が話せなくなったのを助けてくれるために現れたの。あのときハルオと入れ違いで春男君が現れたし、同時にいなくなるっておかしいよ」
「でもさ。猫なんだからさ、妖精ってのもおかしいよ。化け猫ってとこでしょ。男の妖精ってのもどうかなー」
「化け猫は恨みがある場合じゃないの?私を助けてくれたんだから、やっぱり妖精でいいの」
「うーん、そういうことでいっか。でも妖精より人間の方が良かったんじゃない?春男君ってカッコ良かったんでしょ。ちょっと不良っぽくて」
耳が真っ赤になった。
「春子の初恋は猫の妖精か…」
春子ちゃんと私の名を呼んだ春男君の声が頭から離れない。
春子って名前が嫌?そんなことあったかな。
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