10

1/1
前へ
/11ページ
次へ

10

「本当にそんなことってあるのかなー」 咲良は不思議そうに言った。 「あるよ、絶対。私が話せなくなったのを助けてくれるために現れたの。あのときハルオと入れ違いで春男君が現れたし、同時にいなくなるっておかしいよ」 「でもさ。猫なんだからさ、妖精ってのもおかしいよ。化け猫ってとこでしょ。男の妖精ってのもどうかなー」 「化け猫は恨みがある場合じゃないの?私を助けてくれたんだから、やっぱり妖精でいいの」 「うーん、そういうことでいっか。でも妖精より人間の方が良かったんじゃない?春男君ってカッコ良かったんでしょ。ちょっと不良っぽくて」 耳が真っ赤になった。 「春子の初恋は猫の妖精か…」 春子ちゃんと私の名を呼んだ春男君の声が頭から離れない。 春子って名前が嫌?そんなことあったかな。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加