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「春子さあ、葵と結菜といるときもさあ、もう少し地を出すというかさあ、言いたいこと言えないの?」 「あっごめんなさい」 「出た。そっちの方は出るんだけどね」 幼なじみの咲良に対しても控え目なのは変わらない。 でも、咲良は私の少し毒づくところがいいと言う。私はボソッと本音を漏らすらしい。その言葉に毒がある。 今のところ私の本性が出るのは咲良と妹の夏美だけ。これは意識しているわけじゃなく自然にそうなる。 「今日も塾だよね。私、葵たちんとこ行くね」 ウチの教育は厳しい。学業絶対優先でテストで100点をとらなかったら何を言われるかわからない。 両親には冗談でも名前の不満なんて言えない。 小学校のときには咲良と一緒に塾に通うこともあったけど、咲良は中学から勉強路線をはずれてしまった。  私、このままでいいのかな。  何か変えなくちゃ。  そうだ。ごめんなさいをやめてみよう。  決めた。やってみる。
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