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あの角を曲がった。私はハルオを追いかけた。 「ドンッ」 「きゃっ」 「痛えなあ」 「あっ春男君!」 「あれっ?何で俺の名前知ってんの?春子ちゃん」 きゃー、春子ちゃんって呼ばれた。ど、どうしよう。 「あっビックリした?昨日大翔が名前教えてくれたんだよ」 知ってる…知ってるけどまさか自分の名前を呼ばれるなんて思ってなかったから。 「おいっ何かしゃべれよ!春子!」 少しふざけた調子で春男君はそう言った。 は、は、春子って、呼び捨てにされた。 耳だけじゃない。きっと頭のてっぺんからつま先まで真っ赤だ。 「ははっ。悪い悪い。冗談、冗談だよ。許せ」 春男君はそう言って、私の頭を少し荒っぽくなでた。 私の髪がクシャッと乱れた。 真っ赤どころか頭から何か噴火しそう。 「ご、ごめんなさい」 あっ私、ごめんなさいって言っちゃった。 「何、あやまってんだ?」 「えっ黙ってたから…」 「ふーん、そんなことであやまるんだ」 「あーっ、私、話してる!」 思わず大声で叫んだ。 春男君は不思議そうにしていたが、私はその勢いで、ごめんなさいと言わないと決めてから話せなくなったことから自分の性格のことまで、全部春男君に話した。 はじめて話す人なのに。 「ふーん、そうだったんだ。わかったぜ俺。そのごめんなさいって口癖のように言っちゃうことも、毒づくってのもさ、全部ひっくるめて春子ちゃん何だってことだよ。でさ、ごめんなさいは春子ちゃんの入り口なんだよ。それを止めちゃったからおかしくなったんだよ」
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