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春男君の言葉の後、塾に遅れそうになっていることに気づいた私はすぐにさよならを言って別れた。 あれが最後だって知っていたら、塾だってさぼったのに… 「春子、今日塾休みでしょ。どこ行く?」 学校に着くなり、葵と結菜が声をかけてくれた。 「今までごめんなさい」 春男君と話した次の日に何の抵抗もなくスッとそう言えた。 葵と結菜はしばらく戸惑っていたけれど、「廊下では静かにしろ」と学年主任の先生に怒られたとき、「このハゲ隠し」とボソッ毒づいて3人に大笑いされてからはすっかり仲良しになった。 私はママに頼み込んで、成績を下げないことを条件に塾の数を減らしてもらった。
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