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一月二十日、土曜日。午前九時二十五分。
慣れない早起きをして電車に乗り込み、移動すること約一時間半。
あたしと奈子を乗せた電車は無事に目的地となる駅へと到着した。
最寄駅まで移動すれば、専用の送迎バスが出迎えてくれるサービスがあるらしく、改札を抜けてすぐ、白い大きな幟を手にした若い男の人の姿を発見し、あたしは横を歩く奈子の肩を叩いた。
「ねぇ、ひょっとして迎えってあれのこと? あの幟に書いてあるペンションの名前、あたしらが泊まるとこのだよね?」
風にたなびいているためうまく読むことができないが、幟にはテオブロマの文字が書かれているように見える。
「んー……あ、そうそう。間違いないね、あれだわ」
あたしの指差す先を目を細めるようにして見つめて、奈子がニヤつきながら首肯してきた。
「あの人もペンションの従業員かな。結構イケメンだし、早速ラッキーじゃん。のぞみん、第一印象大事だよ?」
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