第二章:救助を待つ

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「何かしら?」 特にもったいぶるような間も挟むことなく、あっさりとイデアは姿を現す。 「何かしら? じゃないよ。あれからずっと(だんま)り決め込んじゃってさ。もう部屋に戻ってきたから、誰もいないよ。そろそろ日中調査してわかったこと、あたしにも教えてよ」 喋りながらベッドへ移動し、あたしはポスンと座り込みながら言った。 「黙りと言われても、少しでも充電の消費を抑えておこうと考ていただけよ。希たちの会話は全て聞いていたわ」 「何でも良いから、事件に関してわかったことを話して。ずっと気になって仕方なかったんだからね」 イデアの意味不明な捜査――と呼べるのかも不明だけど――に付き合い、あたしがわかったことは本棚は変化なし、観葉植物は偽物、電話線は人為的に切断されていた、オーナー夫婦の寝室にある小窓からは大人の出入りは不可能、という電話線以外はどうでも良いことだけだ。 こんな情報だけで、何故イデアは満足できたのか。 一日考えていたけれど、それがさっぱりわからない。
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