第二章:救助を待つ

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「わかったことと言われても、それを今ここで説明するのは時期尚早だと思うわ。話を聞いて、希が下手に周囲に警戒心を抱きすぎるのも問題だし、それが原因で犯人に変な疑いを持たれたら身を危険にさらしてしまうもの」 もやもやするあたしの胸中など知ったことではないみたいで、イデアはその綺麗な緑色の瞳をこちらへ向け、クールな口調で言ってくる。 「は? 犯人にって……イデアまさか犯人がわかったとか言わないよね?」 引っかかるような発言をサラリと含んだその言葉を聞き逃すわけもなく、あたしは驚いた気分で問い質す。 「言わないわ。まだ確証がないし、たぶん時間が経てば嫌でも証拠が出てくるから、犯人が捕まるのはそのときでしょうね」 「証拠が出てくる? 何で?」 「さぁ。あくまで私の仮説よ。このペンションで発生した事件の犯人は、恐らくは警察に捕まることを想定して計画を立てているんじゃないかしら。電話線を切断したりしているのは、あくまで犯行を遂行するまでの時間稼ぎが目的というのが、現時点での私の予測」
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