第二章:救助を待つ

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「ちょっと何? 姉妹揃ってあたしの命軽く見てない?」 「奈子、ちょっと真面目に話したいから変な横やりいれないで」 「新手のいじめかこれは……」 不条理な面持ちで唇を尖らせる奈子から意識をイデアへ戻し、事件に関する確認を先に進める。 「犯人が計画的に犯行を実行したってことは、それなりに前から矢津さんに恨みを持ってたってことになるよね? でも、さっき岩瀬さんたちと話したときは、誰も恨んだりしてるような人はいないって教えてくれたよ? まさか、あの二人が嘘ついてたとか? 共犯?」 「人の命を奪うのだから、それなりの恨みを抱えてはいるのでしょうね。けれど、その動機となる部分に関してはさすがに見通すのは困難よ。いくら私たちが調べても、本人同士しか知らない秘密を隠していれば、そう簡単に暴くことはできないわ。それと――」 あたしを見つめながら喋っていたイデアの視線が、ふて腐れている奈子へと向けられる。
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