第四章:謎を解く

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他の人たちも、それぞれ自分のスマホを手にして操作をしながら、どこかほっとした様子を滲ませていた。 「――皆さん」 これで本当に助かる。 ほんの少しだけ、そんな空気に包まれかけたダイニングに、沢岸さんの呼びかける声が響いた。 ハッとしたように全員がそちらを向けば、沢岸さんはいつの間にか立ち上がり、あたしたちへ深々と頭を下げる姿を(さら)していた。 「今回は、皆さんをこんなことに巻き込んでしまい、すみませんでした。オーナーたちには、ここを復讐の場に利用したせいでこの後も迷惑をかけてしまうし、望月さんや岩瀬さんたちも、せっかく遠方から遊びに来てくれたのに、大切な休暇を台無しにしてしまった。本当に、すみませんでした」 突然の謝罪に誰もが反応できずにいる中、唯一言葉を返したのはオーナーだった。 「やってしまったことは仕方がない……なんて言葉では到底許されることじゃないが、しっかり罪を償ってきなさい。亡くなった家族のためにも。本当なら、こんな馬鹿みたいなことをせず、沢岸くん自身が幸せに生きることが何より一番のはずだったんだから」 静かに沢岸さんの側へ近づき、オーナーはその肩へ優しく手を添える。 「…………」 頭を下げたままの沢岸さんは、オーナーのかける言葉には無言のまま小さく頷き、何かを堪えるように微かに身体を震わせていた。
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