黒い恩返し

昼過ぎ

昼過ぎ、今日の夕飯の買い物を済ませて、住宅街を歩いていた。

あるアパートの前を通った時、設置されているゴミ置き場の中で、
何かが動いているのが、視界に入った。

カラスだ。

ゴミ置場は、全体をフェンスで囲まれている。
どうにかして入ったところ、金網の扉が閉じたのか、誰かに閉じ込められたのだろう。

別に動物好きではないのだが、カラスを出してやろうと思い、金網の扉を開けてあげた。

カラスは、薄雲の張った空に、飛んでいく。

「……思っていたより、黒いな」

ただ一言、感想をつぶやいて、家に帰る。