8.三日目①

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 リミッター名は一体なんて読むんだろう。  そう思って先にプロフィールページに飛ぼうとして思い直す。前と同じなら、このリプを閉じたら添付されている画像を見る前に消えてしまうかもしれない。画像を先に見ないと……そう思いながらも指が震えた。  見るべきではないと僕の中の何かが訴えている気がする。でも、折角向こうから再度コンタクトを取ってきたんだ。 見なかったらきっと後悔する。  大きく息を吸い込み思い切ってタップした。映し出されたのは、女の子の部屋の画像だった。  パステルカラーの家具に、溢れかえるカラフルな靴やカバン。壁には奇抜な格好をしたファッションモデルのポスターが何枚もある。シールや鳥の羽でデコレーションされた大きな鏡には、沢山のポストカードが貼られていた。  部屋の端にあるベッドに座っているのはピンク色の部屋着を着た地味な顔立ちの女の子で、スマートフォンを見ているようだ。肩下までありそうな髪はポニーテールに結われている。テーブルには沢山の化粧品が置かれていて、あれらを使えば彼女も大変身するのかもしれない。  部屋の窓にかけられたカーテンの隙間からは暗闇しか見えない。  ただの部屋の写真なのに、あの気配を感じる。気のせいではないように思えて、どこかに恐ろしいものが隠されているのではないかとつい細部まで見てしまう。でもどこにもおかしなところはない。 「何だ、ただの写真か」  拍子抜けしたのと、自分を安心させる為にそう口に出した瞬間、座っていた彼女の体がばたんとベッドのに倒れた。まるで誰かに無理矢理引き倒されたような不自然な倒れ方で、そのまま彼女は動かない。  GIF動画だ。天井にカメラがあるのか上部から部屋全体を映していた画像がベッドの真上に移った。  見開かれた彼女の目がぎょろぎょろと左右に動いている。何かを探しているみたいに。
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