8.三日目①

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 急いでシャワーを浴びリビングに戻ると、紗名が食い入るようにニュース番組を見ていた。いつになく険しい表情をしている彼女の様子に胸がざわつく。 「彗ちゃん、このニュースなんだけど」  紗名がリビングのソファから僕を振り返って言う。  テレビ画面には何か事件があったのか、よくある特徴のないマンションの外観が映っていた。  その前で神妙な顔をしたリポーターが事件について話している。僕はそのリポーターの作ったような表情がどうも好きになれないなと思った。 「女子高生が変死したって。他殺か自殺かまだわからないみたいだけど」  頭の中にGIF動画に写っていた女の子が浮かび、同時に吐き気が襲ってきた。口を抑えなんとか堪えながらテレビ画面をもう一度見る。 「彗ちゃん、大丈夫? 顔色悪いよ」  僕の顔を見た紗名が心配気にソファから立ち上がる。 「うん、大丈夫」  それを手で制して、僕は冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターを流し込んだ。   >>―――――― 本日未明、神奈川県さいたま市浦和区の如月 功(きさらぎ こう)さん(48)宅で、区内の高校に通う如月さんの長女、高校2年のゆつきさん(17)が倒れているのを、家族が発見し、消防に救急要請をしましたが、まもなく死亡が確認されました。 神奈川県警の発表によると、ゆつきさんは自室の床に仰向けに倒れており、死後数時間が経過していたとのことです。 部屋に荒らされた形跡は見当たらないものの、不審な点が多い為、県警は事件と事故の両方の可能性を考え、捜査を進めていく方針です。 ――――――<<
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